名もなき電波塔

徒然なるままに駄文を垂れ流す

カメラ購入から半年、その軌跡を追う(前編)

おことわり

この記事は筆者がカメラを購入してからの記憶や、その時感じたことを整理する目的で執筆されています。

そのため、見当違いの考察などが含まれる場合があります。また、基本的には各項は時系列順になっていますが、編集の都合上掲載している写真の時系列が前後していることがあります。

これらの事項については、予めご了承ください。

 

目次

 

 

全ての始まり

 

 

 大学二年の秋、暇を持て余した私はついに一眼カメラを購入するに至りました。

 

私の自宅の近くには航空自衛隊の入間基地や、在日米軍が駐留する横田空軍基地が存在します。望遠レンズを装着した一眼カメラを手に入れ、それらの基地を飛び立つ飛行機を撮影したいと前々から思っていた私にとって、長年の夢が叶った瞬間でもありました。

 

今回一眼を購入するにあたって重要視した点として、安価に望遠システムが構築できるかという点が挙げられます。

 

OLYMPUSのミラーレス一眼は、センサーサイズ規格にMFT(Micro Four Thirds System)を採用しています。MFTのセンサーサイズは、フルサイズ(35mm判フィルムと同じ大きさ)のセンサーと比較すると、僅か26%の大きさであり、35mm換算した際の焦点距離はレンズ表記の2倍の値になります。

そのため、フルサイズやAPS-Cサイズのセンサーを搭載する他社の一眼レフより、コンパクトかつ安価に望遠システムを構築することができます。

 

余談ですが、元々私はカメラのデザインや操作性の観点からPENTAX製品に強く関心を寄せていました。PENTAXは旭光学工業を起源とした歴史のあるブランドであり、多くの製品が防塵防滴性能を獲得している他、近年の製品は高感度耐性性能に優れていることが特徴です。その歴史の長さ故、多くのオールドレンズが揃っていることも魅力の一つです。

しかし多くのPENTAXユーザーが言及していることですが、PENTAX製品のAF性能は他社製品と比べると一歩遅れていると言わざるを得ません。これは動体撮影において致命的な要素であると言えるでしょう。 

 

入間基地航空祭で初の動体撮影に苦戦する(2019/11/3)

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美保基地所属の新型輸送機 C-2。入間航空祭への参加は2019年が初 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 14mm, f:9.0, 1/320sec)

 

入間基地は埼玉県狭山市にある航空自衛隊の基地の一つであり、首都圏における航空管制の一翼を担っている施設です。

また、自衛隊の国内航空輸送の重要拠点でもあり、所属する機体はC-1やT-4といった輸送機や支援機が主体となっています。

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航空祭当日の天気は朝から曇天。時々青空が顔を覗かせますが、とても飛行機撮影に向いた天候とは言えない状況です。ここ数年の入間航空祭は、毎年のように快晴での開催が続いており、これは非常に珍しいことです。全く嬉しくはありませんが。

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C-1輸送機の起動飛行。戦闘機並の起動飛行が可能な輸送機は世界でも類を見ない (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:8.0, 1/800sec)

 

一眼カメラを使用した初めての飛行機撮影で、最初に感じたことはピント合わせの難しさです。このように感じた理由として、最初に私が使用していたAFモードがC-AFであることが挙げられます。

 

C-AF(コンティニュアス-オートフォーカス) とは、シャッターボタンを半押しにしている状態の間、常に被写体にピントを追従させるモードです。

このモードは横方向へ動く被写体に対してはある程度の追従性を示しますが、奥から手前に迫るような動きの被写体を苦手としています。

しかし、航空祭を飛ぶ航空機は客席上空に対して滑走路が伸びる方向、つまり先述したような奥から手前へアプローチする動きを取ることが多くあります。

 

このようにC-AFを使用することが困難な場合は、S-AF(シングル-オートフォーカス) を利用することが望ましいでしょう。S-AFはC-AFと異なり、シャッターボタンを半押しした瞬間にのみピントを合わせるモードです。

しかし、ただS-AFに切り替えればいいという話ではありません。動いている被写体に対し、ピントを都度合わせ直すというある種の流れ作業的な操作に、当時の私はある程度の慣れが必要であると感じました。

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C-1の2機編隊飛行。2機編隊で飛行する姿は通常任務でもよく見られる (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 42mm, f:10.0, 1/640sec)

 

次に感じたことは、被写体をフレーム内に収め"続け"ることの難しさです。

当然、空を飛ぶ航空機は相応の速度で移動しているため、それに合わせてカメラを適切な速度で指向させる必要がありますが、その速度が早すぎても遅すぎても被写体が見切れてしまいます。

これには想像する以上の難しさがあります。

前提として、飛行機をフレーム内にピッタリと収めるため、被写体の姿はレンズによって拡大されています。被写体がより拡大されるほど、指向速度に対してフレーミングされている位置は大きく移動します。半径がより大きい円の方が、角度あたりの円周長が長くなることをイメージすればわかりやすいでしょう。

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陸上自衛隊木更津駐屯地所属の第1空挺団の団員による空挺降下 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:9.0, 1/800sec)

 

掲載こそしていませんが、今回の撮影カットの半分以上が露出アンダーやピンぼけ、また被写体見切れという燦々たる結果となりました。

入間航空祭は動体撮影がいかに難しいかを学んだ一日となりました。


夜の小江戸川越を撮る(2019/11/6)

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静まり返った蓮馨寺前参道。日中は生活道路として利用されている (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:800, 31mm, f:5.0, 4/5sec)

 

川越は、古くは川越藩の本拠として栄えた城下町です。その名に表される通り、周囲を入間川や荒川などの河川とその支流に囲まれており、それらを活かした水運業が盛んに行われていました。

また、江戸北部を固める軍事上の要衝でもあり、日本三大夜戦の一つである"河越夜戦"が行われた土地でもあります。

その恵まれた立地故に、広大な領地から産出される特産品の数々の集まる場所としても機能し、"江戸の台所"として栄えることとなります。

 

蔵造りの街並み

その街並みの一部として有名なのが「蔵造りの街並み」です。

明治に入り川越は多くの大火を経験し、その中でも1893年(明治26年)に発生した川越大火によって、当時の川越町の3分1以上が焼失することとなります。

 

その大火の中でも、蔵造りであった店蔵のほとんどは焼失を免れたことから、以後の川越にはこぞって蔵造りの商店が軒を連ねることとなります。それらの一部が保存・整備されたものが、現在の「蔵造りの街並み」になりました。

 

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深夜11時の蔵造りの町並み。日中は食べ歩き向けの飲食物やお土産が店先に並ぶ (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 14mm, f:22, 10.0sec)

 

そんな蔵造りの街並みですが、日中こそ多くの観光客が狭い歩道を埋め尽くしていますが、日が沈み、商店が店じまいをしてしまえば、その街並みは打って変わって静寂に包まれます。撮影する際、周囲を通行する観光客を心配する必要はありません。

 

そんな中、私は人通りが更に少なくなる深夜を狙うこととしました。長時間露光を用い、車のライトの軌跡を残す写真は夜景撮影の定番です。

上のショットはテールライトの軌跡を一本だけ残すことで、ワンポイント強調させることをイメージして撮影しましたが、想定以上に上手く行ってしまい驚いた記憶があります。

 

川越氷川神社

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離れへの通路 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:640, 25mm, f:5.0, 1.0sec)

 

小江戸川越の観光名所は「蔵造りの町並み」だけではありません。川越には多くの歴史的建造物群が点在しますが、その中でも特に多くの人が訪れるのが「川越氷川神社」です。

大宮氷川神社を本社とする氷川神社の一社であり、川越の総鎮守として古くから地元の人に親しまれてきた由緒ある神社です。

 

 

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「境内の玉砂利を持ち帰り、たいせつにすると良縁に恵まれる」という言い伝えがあるなど、夫婦円満・縁結びの神として知られており、敷地内には結婚式場も併設されています。

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想いの欠片 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:1600, 25mm, f:4.7, 1/5sec)

 

毎年夏には、願い事を書いた短冊を結び付けた風鈴が並ぶ「風鈴回廊」が見られますが、絵馬を回廊に結びつけた「絵馬回廊」は一年を通して見ることが出来ます。

ちなみに「風鈴回廊」と「絵馬回廊」は繋がって設置されるため、その長大な回廊は社を半周する長大なものになります。

 

夜の神社という、光源の限られた暗所でISO感度を上げずに撮影するためには、いかにしてSSを稼ぐかが鍵となります。

E-M5mark2の手ブレ補正はそれなりに優秀ですが、それを差し引いても自身の体を固定したまま、カメラを長時間保持することは非常に困難なタスクでした。

 

 

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黒髪ロングの巫女さん、かわいいね 

 

余談ですが、この川越氷川神社はFrontWingの「ろけらぶ」シリーズの聖地の一つになっています。このシリーズは川越を主な舞台とした美少女ゲームで、比較的安価に購入することが出来ます。この記事をご覧になっている方で、美少女ゲームに関心のある方にはご購入をお勧めします。

 

この他にも、漫画きららキャラットで連載中の「恋する小惑星」や、2017年春に放送されたTVアニメ「月がきれい」など、川越市内には多くの作品の舞台となった場所が点在しています。


百里基地航空祭で入間のリベンジに燃える(2019/12/1)

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301飛行隊のスペシャルマーキングが施されたF-4EJ改。三沢基地への転属とF-35への機種転換が決定している。 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 14mm, f:9.0, 1/400sec)

 

航空自衛隊百里基地は、戦闘機部隊が配備されている基地としては関東で唯一の基地であり、首都防空の要である重要拠点です。国内で唯一、F-4EJ改戦闘機とRF-4偵察機が配備されている基地でもあります。

特に、RF-4偵察機は2019年度をもって運用が廃止され、E-4EJ改も2020年中に運用が廃止される予定になっています。

 

また百里基地茨城空港として、スカイマークなどの一部航空会社によっても利用されている官民共用空港でもあります。 

 

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2019年の百里基地航空祭はRF-4が参加する最後の航空祭であることに加え、国内外に多くのファンを持つブルーインパルスが飛行する予定であったため、例年以上の入場者で大変な賑わいを見せました。

 

そして再びの雲天に悩まされる

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ブルーインパルスのT-4によるダイヤモンド隊形 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:6.3, 1/1250sec) 

 

入間基地航空祭と同様、天気は朝から曇天。時々青空が顔を覗かせたかと思えば、通り雨まで降り出す始末。

秋口から初冬にかけての時期の天候は、例年快晴の日が非常に多いのですが、19年の航空祭は尽く天候に恵まれません。

 

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スペマF-4EJ改、通常塗装F-4EJ改、RF-4による混成編隊飛行 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:16, 1/200sec)

 

その上、開幕序盤に飛行が禁止されている一般人のドローンが侵入したことで、上空を通過する航空機は軒並み高度を上げてしまい、換算300mmでは全く焦点距離が足りなくなってしまいます。

上の画像はトリミングで処理しましたが、だいぶ描写が怪しくなっています。

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Smoke now (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:8.0, 1/1250sec)

 

 入間基地の時の課題だったフレーミングですが、現像時に若干トリミングで誤魔化してこそいますが、多少は改善したように思えます。入間航空祭より連写を多用したことも、フレーミングが改善した要因の一つだと考えられます。

 

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タキシング中のT-4 (OLYMPUS M.14-150mm F4.0-5.6 / ISO:200, 150mm, f:8.0, 1/1250sec)

 

強いて今回の撮影での改善点を挙げるとするなら、設定ミスでJPEG+RAWで撮るところを、JPEGのみで出力してしまい、現像で無理が効かなくなってしまった点でしょうか。RAWデータと比較すると、明らかにノイズ耐性が落ちていることを実感する事が出来ました。

 

またショット数を稼ぐために連写を多用した結果、バッテリーがすぐに終わってしまい、後半はほとんど何も撮ることができなかった点が心残りです。

余談ですが、帰宅した後すぐに予備のバッテリーを注文しました。

 

 

2020年は後編の記事にて